近頃、SNSやネット上でよく「国が認めた救済措置で借金が◯◯万円も減額された!」という広告を目にしませんか?
広告には借金が半額近く減額されている事例も紹介されていて、不思議に思っている方も多いでしょう。
そこでこの記事では
「国が認めたってどういうこと?」
「どういうシステムで借金が減額されるの?」
と疑問に思っている方のために「国が認めた救済措置」の仕組みを紹介します。
国が認めた救済措置とは何か
救済措置とは「任意整理」のこと
「国が認めた」という宣伝文句から「国が推奨しているの?」「法律に規定されているの?」と思う方もいると思います。
しかし、実際のところこの救済措置とは、ほとんどが「任意整理」のことを指しています。
任意整理とは、「借入をしている業者と交渉をして、債務額を分割払いにし、その利息を免除できるようにすること」です。そうすることで、完済に必要な金額が減り、それにともない月々の支払額も減少します。
とは言っても、債務者と債権者が1対1で直接話し合いをするわけはありません。
債務者の代わりに弁護士や司法書士が代理人となって交渉してくれます。
また、任意整理はあくまで「個人間での交渉」にすぎないので、債権者側の対応次第でどれぐらい減額できるか、返済回数が何回減るか異なります。もちろん、任意整理をお願いしても、相手方が全く応じてくれず、1円も減額できない可能性もあります。
「国が違法としていない=国が認めた」というロジックなのでしょうが、実際のところは、国が取り扱っているシステムでも何でもなく、単なる「個人間の話し合い」です。
注意点1:事務所が不明な広告主は利用しない
「借金の減額」という魅力的な文句を謳って、債務者を騙すような正体不明の団体による被害が多発しています。どの弁護士事務所・司法書士事務所が任意整理の交渉をしてくれるのかが不明な広告主に、任意整理をお願いするのはやめましょう。
そのため、任意整理の検討をしていても、運営元が不確かな広告主にお願いするようなことはせず、しっかりと運営元が明らかな弁護士事務所や司法書士事務所にお願いしましょう。
注意点2:極端な減額は期待しない方が良い
広告を見ていると「借金が一気に減額された!」という大変魅力的な事例が紹介されていますが、それはあくまでもほんの一例にすぎません。
実際に任意整理を実現するためには、さまざまな条件があるほか、代理人との委任契約の締結や、交渉、和解の成立などたくさんのプロセスを経る必要があります。
広告では「すぐに大幅な借金の減額ができます!」と謳っているものもありますが、それを鵜呑みにしてはいけません。
実際に任意整理をお願いする時には、「借金が一気にチャラになるんだろうな」という過度な期待はせず、「少し楽になるかもしれないな」くらいに考えておきましょう。
注意点3:場合によっては任意整理の費用の方が高くつくことも
任意整理によって減額できる借金は「利息」に限られるので、利息を全然取られていない場合は、任意整理をしても大幅な減額は期待できません。
任意整理は無料でできるわけではないので、むしろ任意整理の費用の方が減額分よりも高くついてしまう可能性があります。
そのため「元金が多すぎて返すことができない…」という場合は任意整理ではなく、個人再生や自己破産などの制度を利用した方が良いでしょう。
まとめ
この記事では、近頃ネットの広告で目にすることが多い「国が認めた救済制度」について紹介しました。
任意整理というシステム自体は全く怪しいものではありません。
しかし、こうした広告には運営元の弁護士事務所や司法書士事務所が不明なものがあります。
そのため、実際に任意整理をお願いする時は、怪しい広告経由で申し込むのではなく、自分で信頼できる弁護士事務所や司法書士事務所を調べて、お願いするようにしましょう。